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有機薄膜太陽電池における素過程の理解と高効率化を目指した理論化学的研究

 研究方針

  地球温暖化や石油枯渇などの環境問題が大きく取り上げられる現在, 再生可能エネルギーである太陽エネルギーと,その太陽電池による利用 に注目が集まっています.私たちは次世代太陽電池となる有機薄膜太陽電池に注目しています.有機分子を材料とする有機薄膜太陽電池はその低コスト性や伸縮性などの新機能のため,従来の太陽電池に対して破壊的イノベーション(*1)になるのではと期待されています.

  私たちは有機薄膜太陽電池の光吸収から電流生成までの各素過程の理解を得て,高効率化への指針を得る事を目的としています.そのため,有機薄膜材料である正孔輸送分子(ドナー)と電子輸送分子(アクセプター)の構造や電子状態,さらには電子,正孔,電子正孔対(励起子・Exciton)が移動する速度定数やダイナミクスを解析しています.

  研究には既存概念や既存手法の応用だけでなく,新しいアイディアが必要になります.解析や計算の新しいアイディアを生み出し,社会に貢献することを目指しています.

*1 クレイトン・クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』の破壊的イノベーションの意味.

有機薄膜太陽電池 有機薄膜太陽電池 有機薄膜太陽電池
Exciton概念図

上段:Exciton移動,下段:Exciton解離

ドナー・アクセプター界面の
分子モデル

左:フラーレン
右:ベンゾポルフィリン

ドナー・アクセプター界面の分子モデル2(分子軌道)

左:HOMO, 右:LUMO

 具体的なテーマ

(1) ドナー・アクセプター界面における電荷移動速度定数の推定

(2) ドナー・アクセプター界面における電荷移動ダイナミクスの解明

(3) ドナー・アクセプター界面の安定性の配向依存性

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